生涯を楽しむための動き方

理学療法士による臨床・生活・予防・介護・子育てに役立つ身体の動きに関する情報がここにある

若年者の腰痛:腰部脊柱管狭窄症が増えている!!②

前回の記事ではプリンクという点滴について書きました。

こちらをご覧ください。

kenkoupt.hatenadiary.jp

 

プリンクで改善しない場合、

血管・血流由来のしびれ・疼痛ではないことが分かりました。

 

神経由来のしびれ・疼痛と分かったら、

部位を特定してしていくミエログラフィーという検査を行っていきます。

 

聞いたことありますか?

 

ミエログラフィーについて書いていきます。

 

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ミエロこと、ミエログラフィーってなんでしょう?

 

施行後、患者さんから、よく聞く言葉。

 

 

 

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痛いの?

 

どんな検査なのよ。

 

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脊髄の形状・交通性を診断するための臨床検査で、

脊髄、馬尾神経の圧迫病変の有無を評価します。

 

方法としては腰椎から造影剤を脊髄空内に注入し、

X線で拡散の様子を透視撮影します。

 

下の写真のように行います。

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写真のように侵襲を加えるので、

痛い場合があります。

 

痛いのは嫌だ!!

それでもこの検査でなければだめなの?

MRIではダメなの?

 

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そうです。

MRIでは診れないところが診れるのです。

 

背臥位の状態では、神経が圧迫されていない場合があります。

これだと、はっきりとわかりません。

 

そこでミエロを行うと、

脊椎の前屈位、中間位、後屈位など…

姿勢を変えて比較が行えます。

 

これは大きなことです。

 

これを参考にして、椎弓切除の範囲を決めることもできるのです。

 

下のスライドをご覧ください。

 

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ミエログラフィーではMRIでは分からない部分が分かるのです。

 

こんな検査です。

 

理学療法士としては、

病態・病巣と症状が一致するのか確認し、

臨床へ向かいましょう!

 

次回は神経ブロックについて書いていきますね。

 

若年者の腰痛:腰部脊柱管狭窄症が増えている!!①

腰痛というと、

ぎっくり腰、慢性腰痛症

腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症

腰部脊柱管狭窄症、梨状筋症候群…などがあります。

 

今回は腰部脊柱管狭窄症について書いていきます。

 

高齢者だけでなく、今はスマホ病・PC病の世の中で、

若年者でも増えているので、若いうちから気をつけていきましょう。

 

私の知識・臨床経験を基に書いていくので、

皆様と違う所もでてくるとは思いますが、ご了承下さい。

 

さて、

 

腰部脊柱管狭窄症ってどんな疾患かを答えられますか?

 

若手理学療法士・中堅理学療法士に質問すると、

えーっと、

腰からの神経が圧迫されてしびれが出る疾患…

間欠性跛行がでる疾患…

と答える方が多いです。

 

たしかにそうなんですが、

 

医師の治療をみてみると、

第一選択に、”プリンク”という点滴を行います。

 

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この作用をみてみると、

 

f:id:kenkouPT:20201110145230p:plainあれ??

腰部脊柱管狭窄症って、

神経の疾患ではなかったっけ?

 

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脊柱管狭窄症とは、

 脊髄が納まっている「脊柱管」の一部が通常よりも狭くなり、神経もしくは神経と共に走行する血管が圧迫されることから生じる疾患です。

(メディカルノートより抜粋)

 

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つまり、神経だけの疾患ではなくて、

神経とともに走行する血管の疾患でもあるのです。

 

だから、

医師の第一選択の治療として、プリンクという点滴を行い、

まずは血管・血流の改善を図ってみて、

どう変化をするかを確認しているのです。

 

これで、少し改善する方もいますが、

変わらない方もいます。

 

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変わらないとなると、神経由来の症状が強いことが分かります。

 

神経由来の症状が強いことが分かったら、

ミエログラフィーという検査に移っていきます。

 

次回はミエログラフィーについて書いていきますね。

 

理学療法士としては、

医師がどんな手順で、どんな治療を行っているかを

知っておくことが大事かと思います。

 

術前にリハビリ介入をする際に

プリンクをやっていている患者さんで、

少し楽になったと訴えがあったら、

プリンクの効果です。

リハビリの効果ではないので自己満足にならないようにして下さいね。

 

大雑把に書いてきましたが、ここまで読んで下さり、

ありがとうございました。

 

大腿骨頸部骨折術後の尿道留置カテーテルは早期に抜去を!!

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ウロバック、ウロカテーテル

本日はウロバック、ウロカテーテルの管理について書いていきます。

 

病院、施設で働かれている方は必ず見たことがあり、扱ったことがあると思います。

クリニックでは、あまり見ないかもしれませんが、目にしたことはあると思います。

 

ところで、このウロバック、ウロカテーテルってなんでつけているんでしょうか?

 

・尿路の閉鎖がある場合

・神経因性の尿閉がある場合

・尿量を測定した場合

術後の場合

 

これらが考えられます。

 

今回は、大腿骨頸部骨折術後という想定にします。

まず、看護師としては、どうしたいでしょうか?

 

”早く尿道留置カテーテルを抜きたい”

 

これです。

 

ちゃんと根拠があります。

病院内の感染の約40%は尿路感染が占めています。

そのうちの70%が尿道カテーテルなどの器具からのものが占めています。

 

結構な確率だと思いませんか?

 

また、留置期間が長いほど感染リスクが増加するとされており、

7~10日で50%の患者さんが細菌尿を認め、

30日経過すると、ほぼ100%の患者さんが細菌尿を認めるとされています。

 

すごくないですか?

 

だから、できる限り早期に抜去したいのです。

加えて、長くなればなるほど、尿閉リスクも高まります。

いいことはありません。

 

理学療法としては、第一選択としては、

離床させ、車椅子に乗せ、トイレへGOです!!

 

この時点では質よりも、

トイレへ行き、排尿するという量のアプローチで結構です。

 

術後はできる限り早めに理学療法介入し、

看護師よりも先にトイレへ連れていける理学療法士を目指しましょう!!

 

あと、ウロバック、カテーテルの扱い方にも注意が入ります。

ベッドで寝ている状態でも、車椅子に座っている状態でも同じですが、

 

必ずウロバックが膀胱よりも低い位置にあること

ウロバックを床面に置かないこと

 

前者は逆流の可能性が出てきます

後者は漏れる原因になり、下の排出部からの菌が入り込む可能性が出てきます

 

この2つは動作時もですよ

 

移乗動作時、起立時、歩行時のすべてにおいて注意して下さい

よく動作時に高く挙げている療法士を見ます

患者さんを感染させてしまいますよ

 

介助の前にウロバック、カテーテルのルート確認を徹底!!

 

こちらのガイドラインをご参考にして下さい。


 

人工骨頭置換術は前側方アプローチが主流

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さて、本日は大腿骨頸部骨折後に人工骨頭置換術のアプローチ方法について

 

みていきましょう。

 

学生だったり、若い理学療法士

急性期の病院に行ったことがない理学療法士

が想像できるように書いていきたいと思います。

ただ、私の考えなので、鵜呑みにしすぎないように、

職場の先輩、医師に聞いたり、自分で調べたりしてみて下さいね。

 

私が学生の時(15年前くらい)の主流は後方アプローチでした。

 

そして、術後の脱臼肢位は股関節屈曲・内転・内旋!!

 

これは嫌という程、徹底して関節操作や、ADL練習を行っていました。

 

が、今の主流は前側方アプローチが多くなってきています。

 

なぜかというと一言で言ってしまえば、

 

脱臼しにくく、損傷も少ないため、治癒が早いから。

 

どういうこと?

 

こちらをご覧ください。

 

 

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人工骨頭置換術アプローチ方法

 

後方アプローチ:

15年程前に主流であった後方アプローチは、

手術姿勢は側臥位で行い、

外旋筋、靭帯を切って、骨折部に侵入して、

人工骨頭置換を行っていました。

深層筋である外旋筋、靭帯を少し切ってしまうので、(縫合はしますが)

股関節内転、内旋への制動がきかなくなるため、

脱臼リスクが高まっていました。

また、縫合をしますが、切ってしまうので、治癒は遅くなります。

 

前側方アプローチ:

現在、主流になっているのが前側方アプローチです。

背臥位で筋間(筋を避ける)を侵入していき、骨折部へたどり着きます。

筋間なので、治癒も早く、早期にリハビリテーションが進めることができます。

 加えて、外旋筋を切っていないので、脱臼リスクが低いのです。(1%以下)

 

 

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脱臼肢位

脱臼肢位も変わってきます。

前側方アプローチでは、

伸展、内転、外旋が脱臼肢位となります。

 

伸展なので、よっぽどないかと思います。

 

これを念頭に置き、日々の臨床に出向きましょう!!

理学療法のエビデンス≠臨床に使える

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エビデンスについて

さて、本日は疾患の理学療法から少し離れたお話しをします。

 

皆様は研究をし、発表もしくは論文にまとめたことはありますか?

 

まず、発表、論文を書くには様々な先行文献を読み、

 

ガイドラインなども読み、今どんなことがわかっていて、

 

まだどんなことが分かっていないのかを知る必要があります。

 

その上で、研究テーマが出来上がり、

 

対象、方法を決め、

 

その研究の仮説を立てることになります。

 

そして研究が始まるわけです。

 

データを収集して、統計にかけて有意差があるか、ないかを検定していきます。

 

根拠は統計検定で決まります。

 

有意水準5%や1%で有意差ありとします。

 

対象の95%の方が変化していれば、有意差ありということです。

 

95%というのは、

 

100人では5人、100,000人では5,000人は外れということです。

 

私個人的には結構外れているんじゃないかと強く思います。

 

それに理学療法士の研究って身体の動きに関するものが多いので、

 

外れることは多いと感じています。

 

身体の動きって簡単に言うけど、健常者で同じ人って全くいません。

 

例えば、TUGで13.5秒より速い人は転びにくいとかいうけど、

 

中には速いだけで、安全注意ができていなかったり、前傾姿勢で歩いていたり、

 

ふらついていてもなんとか歩いていたりすることが多い気がします。

 

また、膝伸展の筋力が重要視されている研究が多いですが、

 

臨床上、膝伸展筋である大腿四頭筋の筋力が弱い方って少ないです

 

なぜなら、四頭筋は日常生活でよく使っている方が多いので、

 

いうほど弱りません

 

むしろ、四頭筋が強すぎて、四頭筋頼りで生活しているため、

 

膝が曲がったり、変形したり、で膝が上手に使えなくなってしまったり、

 

お尻の筋肉で、姿勢を良くする筋肉である

 

大殿筋と中殿筋が働きにくくなっていることは多々あります

 

何がいいたいかというと、前者の場合は、

 

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研究によるカットオフ値は13.5秒だけども、

 

個人をみてみると、決して当てはまらないことも多いので、

 

量だけをみるのはやめましょうということです。

 

患者さん一人一人を丁寧にみる必要があります。

 

じゃないと、再転倒→再骨折ということになる可能性が高くなります。

 

後者は、大腿四頭筋の筋力測定は安易に行えるため、

 

データとしてはとりやすくなっています。

 

だから四頭筋の筋力ばかりの研究が多くなっているわけです。

 

ただ、臨床ではそこまで弱っている方はいません。普段使っています。

 

MMTでいうと2あれば歩けます。

 

2足歩行で歩く我々人間にとって大事なのは殿筋、腸腰筋というのは確実です。

 

骨盤が前傾や、股関節伸展位を保てないと働きにくい環境になっているから弱くなります。

 

まとめると理学療法エビデンスは参考にはなるけども

 

もっとも大事なことは患者さんを一人一人大事に診ることです。

 

身体の動き方を統計でまとめることは難しいと思います。

 

症例検討を大切にして臨床へ向かいましょう!!

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