理学療法のエビデンス≠臨床に使える
さて、本日は疾患の理学療法から少し離れたお話しをします。
皆様は研究をし、発表もしくは論文にまとめたことはありますか?
まず、発表、論文を書くには様々な先行文献を読み、
ガイドラインなども読み、今どんなことがわかっていて、
まだどんなことが分かっていないのかを知る必要があります。
その上で、研究テーマが出来上がり、
対象、方法を決め、
その研究の仮説を立てることになります。
そして研究が始まるわけです。
データを収集して、統計にかけて有意差があるか、ないかを検定していきます。
根拠は統計検定で決まります。
有意水準5%や1%で有意差ありとします。
対象の95%の方が変化していれば、有意差ありということです。
95%というのは、
100人では5人、100,000人では5,000人は外れということです。
私個人的には結構外れているんじゃないかと強く思います。
それに理学療法士の研究って身体の動きに関するものが多いので、
外れることは多いと感じています。
身体の動きって簡単に言うけど、健常者で同じ人って全くいません。
例えば、TUGで13.5秒より速い人は転びにくいとかいうけど、
中には速いだけで、安全注意ができていなかったり、前傾姿勢で歩いていたり、
ふらついていてもなんとか歩いていたりすることが多い気がします。
また、膝伸展の筋力が重要視されている研究が多いですが、
臨床上、膝伸展筋である大腿四頭筋の筋力が弱い方って少ないです
なぜなら、四頭筋は日常生活でよく使っている方が多いので、
いうほど弱りません
むしろ、四頭筋が強すぎて、四頭筋頼りで生活しているため、
膝が曲がったり、変形したり、で膝が上手に使えなくなってしまったり、
お尻の筋肉で、姿勢を良くする筋肉である
大殿筋と中殿筋が働きにくくなっていることは多々あります
何がいいたいかというと、前者の場合は、
研究によるカットオフ値は13.5秒だけども、
個人をみてみると、決して当てはまらないことも多いので、
量だけをみるのはやめましょうということです。
患者さん一人一人を丁寧にみる必要があります。
じゃないと、再転倒→再骨折ということになる可能性が高くなります。
後者は、大腿四頭筋の筋力測定は安易に行えるため、
データとしてはとりやすくなっています。
だから四頭筋の筋力ばかりの研究が多くなっているわけです。
ただ、臨床ではそこまで弱っている方はいません。普段使っています。
MMTでいうと2あれば歩けます。
2足歩行で歩く我々人間にとって大事なのは殿筋、腸腰筋というのは確実です。
骨盤が前傾や、股関節伸展位を保てないと働きにくい環境になっているから弱くなります。
もっとも大事なことは患者さんを一人一人大事に診ることです。
身体の動き方を統計でまとめることは難しいと思います。
症例検討を大切にして臨床へ向かいましょう!!