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実習生必読!よくある座位の仮説検証!

”端坐位で体幹右側屈位”

臨床場面において、普段の生活において、

いろんな場面で遭遇します。

 

理学療法士ですから、すぐに姿勢や動作に目がいってしまうのです。

 

臨床場面では、

脳血管障害の患者さん、整形の患者さん、内部の患者さん、

フレイル・サルコペニアの患者さん…

色んな患者さんにこの非対称性な姿勢は見られます

特に脳血管障害の場合は、片麻痺で左右のどちらかに麻痺がでることにより、

筋肉のコントロールがきかなくなるために

非対称性の端坐位姿勢は出やすくなります

 

また、この非対称性の端坐位姿勢は、

臨床場面だけでなく、健常な方でも若年者でも多く見られます

 

では、なぜ、このような端坐位姿勢をとってしまうのでしょうか?

今回は、この非対称性の端坐位姿勢の問題点を

のように導き出すかを一緒に考えていきましょう。

 

実習生の方、新人理学療法士の方、また運動に携わるトレーナー等は必見ですよ。

では始めていきたいと思います。お付き合い下さい。

 

 

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上のスライドのように、端坐位で体幹右側屈位の患者さんがいるとします。

皆様だったら、どう考えますか?

どうして身体が右に傾いているの?

 

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なんでだろう?

私自身はスパーバイザーを多く経験していますが、

実習生がよく考えてくる問題点で多いのは、

下のスライドのように、

体幹右側屈位の端坐位

です。

 

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でも、

体幹右側屈位の端坐位は、見た目の現象であり、

この言葉(姿勢)自体は問題とはなりません。

 

まずは患者さん自身の主訴が大事です。

「右に傾いていることが違和感」

「右に傾いていることで端坐位がとれない」等が前提となります。

この前提がある場合、

右側屈位の端坐位がどうして起こっているのかを仮説を立て、

その仮説を一つ一つ検証していくことで、真の問題点がようやく抽出されます。

さらに言うのであれば、

例えば、この姿勢が食事動作の遂行を妨げている場合は、

問題の優先度は格段に高くなります。

 

では、どうすればいいのだろうか?

 

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まずは、体幹右側屈位の端坐位姿勢は

どうして起こっているのか?

考えられることを羅列してみましょう。

ここで大切なことは難しい言葉で書く必要はありません。

見たまま、思ったままを紙に書いていきましょう。

私のやり方は、付箋に思ったことを、どんどん、どんどんと

羅列していきます。

 

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羅列していくと、

体幹での仮説が上のスライドのように、5個挙がりました。

 

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そして臀部・下肢の仮説が4個挙がりました。

まだまだ、たくさん考えられることはあると思います。

ただ、この時点では仮説ですから、問題点ではありません。

問題点は仮説を検証して、検証されて初めて問題点と言えるのです。

 

では、仮説を検証f:id:kenkouPT:20210510052536p:plainしていきましょう。

 

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上のスライドをご参照下さい。

仮説検証Ⅰ:

体幹右側屈位の端坐位の体幹を、ハンドリングで垂直位にしてみましょう。

抵抗があるか、ないかをみる必要があります。

抵抗がない場合は、左側腹部の求心性収縮が弱化している可能性が考えられます。

ここで、今度は、ハンドリングで左側腹部の求心性収縮を作ってみましょう。

これで垂直位をとれるのであれば、

ようやく、左側腹部の求心性収縮の弱化が問題点と言えるようになります。

加えて、このハンドリングにより、食事動作の遂行が円滑になった場合は、

優先度の高い問題点と言えます。

よって、

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問題点としては、

#左側腹部の求心性収縮の弱化による体幹右側屈位の端坐位が

食事動作の遂行を妨げている

とすることができます。

どうですか?

意味わかります?

 

ようは、

体幹右側屈位の端坐位の姿勢自体は問題ではなく、

その体幹右側屈位の端坐位は”なぜ”起こっているのかを検証しなければなりません。

”なぜか”を何度も何度も検証して、改善する傾向が見られたら、

それが真の問題点と言えるのです。

 

今回の場合だと、

ハンドリングにて、左側腹部の求心性収縮を作ってみる。

これで体幹が垂直に戻るならば、ここに問題がありそう。

だから、アプローチとしては、

左側腹部の求心性収縮を高めるようなことをするのです。

で、実際に体幹垂直位をとれるようになるのならば、

真の問題点であったとできるわけです。

 

わかりますか?

問題点の抽出って、仮説をまずたくさん挙げられるかが大切で、

かつ、その仮説を検証していく作業が必須になるわけです。

 

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上のスライドをご覧ください。

次の場合はどうでしょう?

 

仮説検証Ⅱ:

体幹右側屈位の端坐位の体幹を、ハンドリングで垂直位にしてみましょう。

抵抗があるか、ないかをみる必要があります。

抵抗がある場合は、

①左への重心移動が嫌または不安

 重心を右に残したまま脊柱を修正する方向へと  誘導した際に右側腹部が伸びれば、左側に何か嫌なものか不安がある→左に問題がありそう

②右側腹部の伸張が嫌または不安

 どんな場面も右側屈位である→右に問題ありそう

各左右の問題点疑いを、ハンドリングや環境を変えてみて、

改善すれば、ようやく問題点と言えます

 

①の場合、

左で重心を取りたくない要因はなんなのかを考えなければなりません。

その嫌なこと、不安なことを

取り除くようなハンドリングや環境で変化をみてみましょう。(これが検証)

 

②の場合、

右側腹部の伸長が嫌な要因はなんなのでしょうか?

これを一つ一つ検証していきましょう。

 

 

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実習生、新人理学療法士のうちから、

こういう癖をつけておかないと

なー、なーの療法士になってしまいます。

 

理学療法士には色んな手技がありますが、

その手技をやっていれば万能だと言う手技はないと考えています。

 

ようは基本をしっかり押さえ、

まずは難しいことは考えず、

見たまま(現象)を大切に、

その現象がなんで起こっているのかの仮説を立て、

その仮説を一つずつ検証していく作業が必須となるわけです。

 

仮説が検証された問題点が真の問題点なのです。

 

検証なき、問題点はありません。

 

わかりましたか?

なんとなくでもいいから、わかっていただけたら、

この記事の価値はあるなと思います。

 

理学療法士って楽しいですね!!

楽しいですよ!!

 

高校生の皆さん、理学療法士目指しませんか?

実習生の皆さん、実習頑張れー!

新人理学療法士の皆さん、必死に考え、患者さんに向き合いましょう。

 

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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