生涯を楽しむための動き方

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脊椎圧迫骨折の理学療法③あなたはどう考える?

前回までのブログでは、

脊椎圧迫骨折の理学療法は、

椎体の楔状変形による脊椎後彎変形の防止が

最大目的であるとお伝えしました。

 

その脊椎後彎変形を防ぐために

脊柱起立筋を日常から使って行かなければいけません。

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 では、脊椎圧迫骨折の後彎変形改善・予防のために

どのような肢位で脊柱起立筋に収縮を入れれば良いでしょうか?

 

上のスライドをご覧下さい。

背臥位や腹臥位は、

骨折部に重力による圧縮力がかかりづらく不安定になります。

不安定な状態で脊柱起立筋の収縮を行うと離開しやすくなります。

結果的に治癒遅延を招いてしまいます。

  

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一方、座位や立位は、

骨折部に重力による圧縮力がかかり安定しています。

だから脊柱起立筋が働いたとしても、離開はしにくいと考えます。

結果的に後彎変形の防止につながり治癒を早める効果も期待できます。

 

上の写真のように、

座位もしくは立位で両上肢を挙上させる運動を行うと

脊柱起立筋も働いてきます。

同時の体幹伸展も狙えるので、私はよく行っています。

 

あなたならどうしますか?一番これが大事ですよ。

脊椎圧迫骨折の理学療法②あなたはどう考える?


 前回は脊椎圧迫骨折の前方支柱が折れている患者様への理学療法

最大目的をお伝えしてきました。⇩

kenkoupt.hatenadiary.jp

 

さて、本日は、後彎変形を防ぐためのターゲットマッスルについて

お伝えしていきます。

 

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脊椎圧迫骨折のターゲットマッスル

 

筋収縮を入れたいNO. 1ターゲットマッスルは、

脊柱起立筋と考えます。

 

左の脊椎の写真をご覧ください。

前方支柱が折れたことを想像して下さい。

前方が折れたなら、それを起こさないといけませんよね(黒矢印)

そのためには脊椎起立筋の収縮が必要となります(赤矢印)

 

右図の洗濯挟みで例えるとわかりやすくなります

 

では、脊柱起立筋はどのように収縮を入れるのがベストなのでしょうか?

次回のブログでお伝えしていきます。

 

本日も読んで下さり、ありがとうございました。

脊椎圧迫骨折の理学療法①あなたはどう考える?


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前回までは脊椎圧迫骨折の種類や好発部位についてお伝えしてきました。

本日からは、その脊椎圧迫骨折に対する理学療法について書いていこうと思います。

 

あくまで私の考え方であるので、皆様も自分なりの考えを構築していきましょう。

現代は様々な情報が発信されていますが、

情報が多すぎて、結局、何に頼ればいいのか、何を信じれば良いのか、

迷うことは多々あります。

皆様はありませんか?

 

私が思うことは、一番は臨床において、自分がリアルで経験したこと

臨床においての経験からの予測が最も大事です。

それでかつ、同じような思いや経験をしている人が文献発信していれば

それが自分の中の考えとなっていきます

 

どんなに文献で文章化されていたとしても、

臨床と合わず、へー止まりで、

共感できないことが多すぎます。

理学療法の世界は特に…かもしれません。

客観のようで客観でないことが多いからです。

 

これから必要なことは、いかに自分の考えを持つか!!

これに限ります。

圧迫骨折の理学療法について、私なりの考えを書いていきますが、

違う考え方があれば、教えて頂ければ幸いです。

 そして、スキルアップにつなげていきましょう。

 

さて、こちらをご覧ください。

 

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この画像は、今までお伝えしてきました

脊椎の屈曲(前屈)外力による前方支柱の骨折です。

 

高齢者の姿勢はこういう前屈姿勢は多いですので、

やはり受傷しやすいことがわかります。

転んだわけではないけど、”いつのまにか折れる”=いつのまにか骨折というやつです

 

では、この方の担当になりました。

どうしますか?

 

 

まず、理学療法士として表してほしいのは、

短期ゴールでなく、長期ゴールでもなく、

最大の目的です

 

最近の理学療法士

ゴール設定を

起き上がり自立とか、歩行自立とか…

能力低下のことばかりを言います

 

これって誰でも言えるし、

量ばかりの事じゃないですか。

 

考えてみて下さい。

量に視点を向けた起き上がりや歩行って

本当に理学療法士しかできないことでしょうか

 

看護師、介護士も経験を積めば、できます

 

現に、あるあるですが、

理学療法士よりも

看護師・介護士による病棟ADLの方が先を進んでいることを多く見てきました。

 

では理学療法士だったら、どうすべき?

まず、この画像を見て、

再発の防止へのアプローチが大切になってきます

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理学療法の最大目的は

”椎体の楔状変形による脊柱後彎変形の防止”

と私なら、そう考えます

 

どういうことかというと

脊柱の後彎変形(前屈)により、前方支柱が折れたわけだから、

この後彎変形の進行を止めなければ、

再骨折もしくは疼痛増悪は免れることができません

 

では、理学療法では何をやるかは、

次のブログ:脊椎圧迫骨折の理学療法②でお伝えしていきますね。

 

ここまで読んで下さいまして、

ありがとうございました。

脊椎圧迫骨折③好発部位知ってる?

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脊椎圧迫骨折好発部位

前回までで脊椎圧迫骨折①②をお伝えしてきました。

皆様、どうでしたか?知っていましたか?

意外になんとなくレベルで通過してしまっていることが多いようです。

また、私なりの考えも含まれますので、

皆様も皆様なりの勉強を行い、意見交換できたらと、思います。

 

さて、本日は脊椎圧迫骨折の好発部位となります。

知っていましたか?

 

始めのスライドをご覧ください。

好発部位は、

胸腰椎移行部である第11-12胸椎および腰椎1-2腰椎

です。

 

なんでか?ということが大事なんです。

ここからは私見です。

 

おそらく、

・第2-10胸椎までは、肋骨胸郭のため、可動性が少ない

・腰椎は前彎し可動性に富む

・腰椎は胸椎と比べ椎体が大きい

 

よって、まとめると、

動かない強固な部分を支えるよく動く部分「胸腰椎移行部」は負担が大きくなる

 

こういうことだと思います。

 

で、ここからが、さらに大事!!

へぇー、で終わらない。

 

自分の身体で、それを感じてみる。

第2-10胸椎までは、本当に可動性が少ないのかな?

腰椎は前彎してるから、可動性に富むのかな?…

など、必ず、自分でやってみる!!

これが大事です

 

それで、さらに

脊椎圧迫骨折は高齢者に多いです

腰が曲がっている→腰椎は後彎していることが多い

これは屈曲外力がかかりやすいポジション!!

これをモデル的に自分で作ってみて下さい。

この腰椎後彎の状態で、体幹の回旋運動はどうですか?

小さくないですか?

 

この腰椎の可動性が少なくなった状態で、

転ぶわけです。

腰椎回旋制限、腰椎後彎強まった状態で、

さらに屈曲外力が加わってくるわけです。

 

折れてしまう確率は増えますよね。

 

こういうことを、考えて、臨床に入るようにしましょう。

 

でこれからの超高齢化社会を迎える日本にとって、

一番大事なことは、骨折してからでは遅いのです

 

転ぶ前に介入

転ぶ前に、腰椎後彎の改善、回旋の改善

バランス能力の改善

筋力の改善

疼痛の改善

…やることはたくさんあります

 

病気になってからではなく、

病気になる前に!!

これ健康寿命を高めるために

大切なことであると思います。

 

病院勤務14年から、街に出てきた理学療法士が思うことでした。

 

次回は脊椎圧迫骨折の理学療法について書いていきますね。

脊椎圧迫骨折②脊椎を3パートに分ける

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脊椎圧迫骨折 3パート

脊椎を3パートに分けて考えてみましょう

①Anterior column 前縦靭帯と椎体および線維輪の前方1/2

→椎体の前方支柱が潰れる おそらく屈曲外力が強く潰れる

 

②middle column:椎体および線維輪の後方1/2と後縦靭帯

→椎体の真ん中が潰れる

 

③Posterior column:椎弓根より後方の骨性要素と棘間・棘上・関節包・黄色靭帯

→椎体の後方支柱が潰れる おそらく伸展外力で強く潰れる

 

1columnの損傷→安定

2columnの損傷→神経症状と不安定性と密接な関係あり

3columnの損傷→最も不安定

 

脊椎圧迫骨折でも安定性は非常に大事になります

患者さんのどこが折れたのかを、しっかりと確認してから

リハビリ介入をしましょう。

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