脊椎圧迫骨折後の再骨折と死亡リスク
臨床において、脊椎圧迫骨折は大変多くみます。
さらには、再骨折で入院してくる方も大変多く感じます。
では、どのくらいのリスクなのでしょうか?
上のスライドをご覧ください。
1つ椎体を骨折すると3.2倍、2つ椎体骨折すると9.8倍が、新たな椎体骨折につながる
とされています。
また、椎体骨折が2個になると2倍、3個になると3倍も死亡率が高くなるとされています。
だから、初発の脊椎圧迫骨折を起こさないようにすることが最も大事であり、
起きたとしても、1個目の時の治癒をきちんと行うべきということが分かる。
理学療法士として、転倒防止・再発防止のための理学療法を実施していくことは必須である!!
意外に考えていないセラピストが多いように感じるので、
お願いします。
脊椎圧迫骨折の理学療法⑥あなたはどう考える?
脊椎圧迫骨折の患者さんにみられる弱化筋についてです。
臨床において、よくみられるのは、
脊柱起立筋、多裂筋、大殿筋、腸腰筋の働きが弱いと感じています。
脊柱起立筋は前回お伝えしてきましたので、
そちらをご参照下さい。
本日は腸腰筋と多裂筋のエクササイズについて記事を書いていきます。
はい、腸腰筋です。
これはむちゃくちゃ大事な筋です。
だけど、使えていない方が多いです。
まず、骨盤後傾位や腰椎後彎で座っているような方は普段使えていません。
MMTの肢位では端座位で股関節屈曲を行うのですが、
ほぼ代償で行っている状態が大部分です。
なぜなら骨盤は立てて、腰椎前彎を保ち、
股関節屈曲をしてみて下さい。
すごく大変だと思います。
これが本来の腸腰筋の働きです。
おそらく、大腿四頭筋や縫工筋などの代償で股関節屈曲を行っていることが多いです。
では、上のスライドを見て、腸腰筋エクササイズを行ってみて下さい。
骨盤前傾+腰椎前彎保ち、股関節屈曲です。
どうでしたか?
次は多裂筋です。
上のスライドを見て下さい。
横隔膜・腹横筋・骨盤底筋の収縮保持が行えるようになったら、
介入していきます。
だから高齢者には少し大変かもしれません。
無理はしないようにして下さいね。
方法1は側臥位、方法2は四つ這いで行う方法です。
考え方としては、疼痛によりspasticになっているので、
筋力増強するというよりも、収縮-弛緩で血流改善で鎮痛効果を狙いたいです。
整形外科のリハビリテーションに携わる方は必読すべきものです。
学生、実習生、若いPT、経験PT、それぞれに役立ちますよ。
脊椎圧迫骨折の理学療法⑤あなたは考える?
本日は、医師より離床開始の指示が出た場合、どうする?という話しをします。
もちろん、基本的な理学療法として、
筋力増強運動
関節可動域運動
ストレッチ
持久性運動
バランス練習
…
は必要となります。
だけど、私として一番大事な事は
身体の使い方だと思っています。
身体の使い方というのは、
骨折している部位である椎間関節での動作は卒業すべきということです。
そして、
これからの身体の使い方は、
股関節での動作の学習が必要です。
なぜかというと、圧迫骨折が起きた場合は、
大部分で脊椎の後彎変形が進行して起こっている場合が多いです。
後彎変形している脊椎で、動作をすると骨折リスクは高くなります
さらにはヘルニアリスクも高くなります
なので、これ以上の後彎変形を防止するために、
脊柱起立筋は両上肢挙上運動で働かせておきましょう。
その上で、これからの動作は
脊椎椎間関節という不安定な関節では行わないで、
股関節という安定した関節を中心として行うようにしましょう。
股関節は臼蓋に大腿骨頭がはまっており、安定しています。
簡単に脱臼することはありません。
股関節・骨盤が使えるということは、
腸腰筋、大殿筋、中殿筋が上手に使えるということ。
足関節・膝関節・股関節がエネルギー効率よく使えるということ。
です。
もちろん、大腿骨頭壊死や人工骨頭の方は除外して下さいね。
まとめると、
高齢者の場合、脊椎後彎変形増加(+転倒)による圧迫骨折が多いため、
脊椎の前方支柱が折れやすい。
医師および自分で画像を確認し、
安静度はコルセットできるまで離床不可の場合は、
ベッド上で丸太様寝返りの練習をし、獲得する
離床開始となったら、
立位・端座位にて両上肢挙上で脊柱起立筋の収縮を狙う
これは、脊椎後彎変形の進行を防ぐ
同時進行で、
腰椎椎間関節の動作は卒業し、できる限りの股関節動作を獲得する。
なぜかというと、椎間関節は不安定で、股関節は安定しています。
安定しているところを使い、かつ大きい筋である
大殿筋、中殿筋、腸腰筋をしっかりと使いましょう。
実際の臨床で感じることは、使えていない方が多すぎます!!
これは圧迫骨折の方に限ったことではありませんので、
若いうちから、股関節意識は徹底できるといいですね。
脊椎圧迫骨折の理学療法④あなたはどう考える?
前回までお伝えしてきことは、
脊椎に対しての変形防止のための理学療法でした。
本日は、
急性期の疼痛が強く臥床状態、
もしくは医師からの安静度がコルセット着用するまでは離床不可との指示がある場合、
理学療法士は何をするかということを考えていきましょう。
皆様は何をしますか?
下肢の筋力増強?
ストレッチ?
関節可動域運動?
私ならば、一番始めに丸太様寝返り動作の練習を行います。
聞いたことありますか?
行っていますか?
臥床状態の際は、除圧も兼ねて、体位変換が大変重要となります。
だけど、体幹前屈させたり、ブリッジ運動させたりすると
疼痛が強く出現する場合が多いです。
また、症状悪化にもなり兼ねません。
だけど、体位変換しないといけない。
さぁ、こまったー!!
そこで丸太様寝返り動作練習です。
左へ寝返るとします。
まずは背臥位で両膝を立てます。
ここからがポイント。
骨盤を肩甲帯を同時に左へ倒します。
この際、脊椎のねじれは起こらないように注意します。
これで疼痛はほとんどなく、脊椎の動きにもほとんど影響なく、
寝返り動作が行えます。
これは私自身、必ず、一番始めに行うことです。
この寝返り動作を患者が疼痛なく行えれば、
体位変換も行えますし、起き上がり動作へ近づいていきます。
一度、行ってみて下さい。
もう一度ポイントいいますよ。
骨盤と肩甲帯を同時に寝返らせます。
どちらが先行しても疼痛でるので、
必ず、同時ですよ!!