生涯を楽しむための動き方

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知っておこう!筋力増強運動の原則とエビデンス!

まずは、筋力増強運動の原則についてです。 

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筋力増強①

普段、臨床において、

目的ごとに、運動の強度を考える必要があります。

 

神経因子へなのか、

筋肥大させたいのか、

持久性をつけたいのか…

 

また、運動の頻度も考える必要があります。

365日(1日9単位)のリハビリが主流になってきている世の中ですが、

本当に365日(1日9単位)をやることは

患者さんにとって大切なことなのでしょうか?これは疑問です。

とうのは、結局コストのことが一番上に来ているとつくづく感じます。

2つの病院で管理部の立場になりましたが、

どちらも言葉では、患者が主のように言うけど、コストが一番上でした。

 

患者さんのことや

エビデンスに基づくのならば、

土日も9単位やり続けることは、ありえないと思います。

 

毎日20分~60分(3単位)で十分です。

 

無駄に時間を費やして、患者さんの負担・国の保健負担が増えています。

 

最近、回復期リハ病院を通らず、

クリニックにくる術後の患者が増加してきているのですが、

つくづく思います。

20分~40分の理学療法でも良くなるものです。

無駄な時間を費やさず、

効率よくアプローチしましょう。

 

少し、愚痴っぽくなってしまいました。

すみません。

 

頻度は継続するためには、

毎日が良いと思います。(3単位上限:20~60分)

 

運動の期間は6~8週間継続しないと筋肥大は起こりません。

ただ、神経因子は増加するので、効果は確実にあります。

 

高齢者の場合は、負荷を大きくできない場合が多いので、

運動期間を通して、神経因子と関与が大きいとされています。

 

 

ここからは、

筋力増強運動のエビデンスについてです。

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筋力増強②

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筋力増強③

 

上の2つのスライドのエビデンスAをまとめると、

 

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筋力増強④

 高齢者の場合、

求心性、遠心性、等尺性収縮などの様々な収縮様式で、

1RM60%で1~3セット、

多関節にわたり、

低速~中速で、

1週間に2~3回実施することが望ましいとされています

 

神経因子へのアプローチです

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

大腿骨頸部骨折術後の筋力低下はなぜ起こる?

前回までは、

筋力について2つの記事にまとめてきました。

まずは、こちらをご覧下さい。⇩

kenkoupt.hatenadiary.jp

kenkoupt.hatenadiary.jp

 

その上で、

今回は、術後の筋力低下はなぜ起こるかを考えていきたいと思います。

 

余談ですが、私、阿武は病院14年、クリニック2年目の臨床経験をしています。

臨床において、術後の患者さんを相手にする機会が多く、

やはり、筋力低下しています。

 

では、術後の筋力低下はなぜ起こるのでしょうか?

疼痛によるもの?→

もちろん、疼痛により筋力が発揮されないことは大きく影響すると思います。

では痛み止めを飲んで、痛みがなくなれば、

筋力は発揮されるでしょうか?→

これが発揮されないことが多いのです。

だから、疼痛は直接的な影響ではなさそうです。

 

筋委縮によるもの?→

現在、早期手術・早期リハビリ介入があるので、

昨日まで歩けていた人が骨折したとして、

筋委縮が起こるなんてことは、まずありえないと思います。

だから、筋委縮でもないと思います。

 

では、なんなのよ?

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術後の筋力低下①

術後に起こる筋力低下は、

筋損傷によるものが大きいと私は考えます。

 

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術後の筋力低下②

上図のように、

形態的側面をみてみると、

骨折時の筋損傷や、

筋肉に手術による侵襲が加わることによる筋損傷が少なからず起こります。

よって、働ける筋の横断面積が減ってしまっているという事です。

 

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術後の筋力低下③

次に上図のように、機能的側面をみてみましょう。

①神経活動についてです。

Grade4の筋変性が起こった場合、修復までに最低でも6週間はかかるとされています。

つまり、手術・外傷により筋損傷が起こった場合、

神経筋接合部の活動性を引き起こします。

その修復には6週間はかかるので、

術後の筋力低下は。神経活動が減少することによっても起こります。

 

また、心理的要因をみてみると、下のスライドです。

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術後の筋力低下④

 疼痛により動かしたくない気持ちになることや、

全身の倦怠感や活気がないこと、

術後の恐怖心があること、

安静にしておこうと先入観があること、

様々な個性ある要因が挙げられ、

 

これらも術後の筋力低下に影響してきます。

 

修復までの6週間は、筋損傷による筋力低下なので、

筋収縮を促しながら、筋の修復を待ちましょう。

 

それまでは本当に大事なことは、

術後の心理的要因について関わることかもしれませんね。

 

手術したことで、

自分の骨よりも強くなったよ

頑丈だから、安心して力入れて、体重かけてね

と声をかけてあげるだけで、

患者さんはだいぶ安心するみたいです

 

では、臨床頑張りましょう!

 

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

筋力の機能的・形態的変化

前回の記事では、

筋力は気持ち一つで一瞬で変わるよって話をしました。⇩

kenkoupt.hatenadiary.jp

 

今回は、筋力の機能的(質的)・形態的(量的)変化について書いていきます。

まずは、下のスライドをご覧下さい。

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筋力の機能的・形態的変化

 

この図は、

縦軸が最大筋力に対する貢献度、

横軸がトレーニング期間です。

グラフの太い線が筋肥大、細い線が神経性要因です。

 

この図からわかることは、

レーニン初期には機能的側面(質的)である神経性要因が発揮し、筋肥大はまだ起こりません。

 

レーニン8週目くらいから形態的側面(量的)である筋肥大が起こっていきます。

 

だから、

普段の臨床・生活において、

運動をしていない人や、

運動を始めなければならない人を相手にする場合は、

 

まずは、意識的に筋を収縮させ、収縮に参加する筋線維を数を増やす必要があります。

とにかく、やらなければ、変わりませんよ。

 

そして、収縮を持続的・長期的に行い、

運動単位の同期化をはかり、動員数の増加をさせます。

 

8週継続すれば、筋肥大が徐々に起こってきます。

 

継続は力なりですね。

8週つまり2か月間は頑張りましょう‼

 

ここから阿武の考えですが、

筋力をつけるというと、

外から見えているところや、

普段よく使っているところをつけようとする人がほとんどです。

 

けど、これでは意味がありません。

外から見える筋はアウターマッスルであり、

普段生活をしていれば、ある程度はすでについています。

 

内面のインナーマッスルから鍛えていかないと、

関節安定や真の底からの筋力はついてきません。

 

かつ、普段やらない動きをしないと意味ありません。

 

ポイントは大殿筋と大腰筋、骨盤・股関節の運動拡大、

肩甲帯背面、肩甲帯と上肢の分離だと思います。

 

直立2足歩行を獲得した人間に

骨盤と肩甲帯の強化・柔軟性は必須‼

 

今回の論文は、

市橋先生の論文を参考にさせて頂きました。

詳細は原著をご覧下さい。

いつも、知りたいことであり、わかりやすい論文をありがとうございます。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

筋力測定結果は瞬間で変わるよ‼

我々は臨床の評価で頻繁に筋力測定をします。

 

測定方法は、徒手で行える簡便なMMTや、

全身の筋力を反映するとされている握力計があります。

そして最近では、

HHD(ハンドヘルドダイナモメータ)で客観的に行う方法が主流になってきています。

 

でも、この筋力の測定結果って

どんな数値なのでしょうか?

 

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筋力測定結果は?

 

臨床上、測定結果がすぐに変わってしまった経験がある方はいませんか?

 

そうです。

これらの測定方法で出た結果は、

測定時に”筋”を収縮させて発揮された結果であり、

”筋そのもの”を評価しているものではないからです。

瞬間で変わります。

 

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瞬間で変わる

例えば、

筋力測定をした時から1時間の間に、大好きな人に振られたとします。

 

”筋そのもの”は変わらないけれど、

精神面がやられるだけでも、筋力測定結果は低下します。

 

瞬間で変わります‼

 

つまり気持ち一つでも変われば、筋力の測定結果は変化するのです。

 

ここで、

筋力を2つに分けて考えてみましょう。

 

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筋力を2つに分けて考える

 ①形態的側面(量的)と②機能的側面(質的)の2つに分けることができます。

①の形態的側面(量的)というのは、

筋自体の筋繊維が大きく、断面積が大きくなることを言います。

 

②の機能的側面(質的)というのは、

神経活動や心理的要因が影響します。

 

先ほどの例は、

大好きな人に振られた場合の筋力低下ですので、

この②の心理的要因が影響して筋力低下しているのです。

質的に筋力低下しているのです。

 

②機能的側面(質的)が整っていないと、

①形態的側面(量的)には筋力増強しません。

 

だから、

筋力測定結果は瞬間で変わるから、

その結果だけで、上ったとか、下がったとか言っていないで、質的に同じ状況で評価しないと意味がありません。

 

筋力測定結果は瞬間で変わるよって話でした。

 

次回は筋力増強について書いていきますね。

 

ここまで、読んで下さり、ありがとうございました。

パンチは内旋?外旋?

皆様、自分の動作を思い出してみて下さい。

普段、動きに関して何を教わったわけでもないけど、動いていることがほとんどです。

自分の動きやすいように、動いています。

慣れの動きしかしません。

その動きは、無意識で行っていることばかりです。

 

例えば、

寝る姿勢…仰向け、うつ伏せ、横向き・下肢屈曲位…

起き上がる向き…右、左、真っすぐ、下向き…

座る姿勢…

立ち上がり方…

歩き始め…右足から、左足から…

階段手前の踏切…ギリギリ、少し手前、少し超す…

階段の昇り…右足から、左足から、手すりに摑まる…

階段の下り…右足から、左足から、手すりに摑まる…

靴を履くのは…右から、左から

言い出したら切りがありませんが

すべて、無意識的に行っていることです

すべて、慣れの動きです

 

けども、不思議なことに

その慣れが、無意識なんだけど、

効率のいいように動いているのです

 

例えば、パンチをみてみましょう

 

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パンチは

肩内旋位でしますか?

肩外旋位でしますか?

 

パンチで想像しにくい場合は、

扉を押す際や物を押す際は、

肩内旋位でしますか?

肩外旋位でしますか?

 

 

ほとんどの方が肩内旋位で行っていると思います

しかも、みんな無意識で…

 

肩内旋位だと肩甲帯がしっかりと使えて、

プッシュアップが可能になります

腕の力だけでなく、体幹の力・下肢の力が使えるので

効率よく、最大筋力が発揮できるようになるわけです

 

このように、無意識かつ慣れで行っている動きを考えてみましょう。

 

ここで大事なことは、

整形疾患予防レベルでは、

無意識かつ慣れで行っている動きは、

あえて筋力や柔軟性を高める必要はありません。

 

普段、やらない運動方向への筋トレや、姿勢保持、

バランス練習を取り入れて、

日常からの脱却を目指すべきです‼

 

この考え方は若ければ、若いほど、大切です

できる限り早く、慣れを捨てましょう!

 

今日はこの座り方にしよう、

今日はこの寝方にしよう、

今日は脚を開いて歩く、

今日はつま先立ちで歩く、

今日は膝曲げて歩く、

今日は姿勢を良くする、ここからは腰を少し曲げてみる…

 

このように、慣れからの脱却を目指すと、

姿勢にも、動作にも偏りがなく、

生活で変化球がきても、身体がすぐに対応できるようになってきます

 

とにかく固定化された毎日を捨てましょう

当たり前が当たり前でないように、動作のキャパシティーを増やしていくべきです!!

 

理学療法も同じです

もちろん基礎・知識・技術は大事です

だけども、

これをやってれば、患者が良くなるということはありません

 

ただ言えることは、やれることが狭小化している患者さん、

やれるけど何かしらの抵抗でやってこなかったことを、

理学療法では実施していく

 

これにより、患者さんはやれることが拡大していく

キャパシティーを増やしていく

これが大事です

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