前回お伝えしました
2019年に改訂したサルコペニア診断基準の
身体機能に含まれているSPPBについて記事を書いていこうと思います。
原著の評価表はこれです。
訳して使用して下さい。
…
とは言いません。
SPPB(short physical performance battery)は、
National Institute on Aging(NIA)によって開発され、 1994 年に発表された高齢者の下肢機能の評価バッテリーです。1)
ほとんど器具を必要としないで、
短時間でバランス、歩行、筋力が評価できるメリットがあります。
論文にもたくさん使われている評価方法ですので、
エビデンスレベルも高い評価となります。
この機会に是非、覚えていただき、臨床や地域で使用して頂けたらと思います。
ただ、評価というものはやり方が間違っていては、もちろんいけません。
しかし、現実的に間違って使用されていることを多くみかけます。
ここで正しい方法をご紹介していきます。
1.バランステスト
閉脚立位>10秒→セミタンデム立位>10秒→タンデム立位>10秒
※実施者は開始時、姿勢のセッティングをしても良い
※各立位で10秒>ならば、次は歩行テストへ移る
(得点)
順に実施し、
閉脚立位10秒できれば1点でセミタンデム立位へ できなければ0点で歩行テストへ
セミタンデム立位10秒できれば1点でタンデム立位へ できなければ0点で歩行テストへ
タンデム立位10秒できれば2点で歩行テストへ 3秒できれば1点、できなければ0点
各項目10秒できれば最大4点
2.歩行テスト
4m歩行のタイムを測る
※横線の上に立位をとった姿勢からスタート
※速さは、いつも通りの速さで、速く歩いたりはしない
※4mの線をまたいで着地したところのタイムとなる
※4mの位置で止まらないように駆け抜ける
※2回測定し、速いほうを採用する
(得点)
<4.82秒 4点
4.82-6.20秒 3点
6.21-8.70秒 2点
>8.71秒 1点
3.椅子からの立ち上りテスト
5回起立・着座のタイムを測る
※背もたれ付きの椅子を用意する
※胸の前で両腕を組む
※椅子にもたれた状態から始める
※きちんと最後まで起立をする
※5回目は起立で終わる 完全起立をしたまでをタイムとする
(得点)
≦11.19秒 4点
11.20‐13.69秒 3点
13.70‐16.69秒 2点
>16.7秒 1点
>60秒 0点
合計12点満点で、
0-6点を低機能
7-9点を中等度機能
10-12点を高機能
と評価する。
簡単に評価できるので、一度行ってみて下さい。
で、理学療法士はここからです。
低機能だから、どうすれば挙がるのか?
高機能でも、本当に大丈夫?
など、ここからは個別性の理学療法を行いましょう。
<参考文献>
1)Guralnik JM,et al:A short physical performance battery assessing lower extremity function: association with self-reported disability and prediction of mortality and nursing home admission.Journal of Gerontology Vol.49 No.2:M85-M94,1994
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