最近、臨床において振り返ることがある。
さて、筋の収縮とは…?
そう聞かれてなんと答えるか。
みなさんも、答えてみてほしい。(1分以内に端的に)
今回はそんな筋収縮について書いてみることにした。
理学療法士でない方でもわかるようにしていく。
筋は神経に電気信号が流れることにより、収縮する。
神経による1回の刺激で1回収縮することを単収縮(攣縮)という。
この単収縮は、日常において腱反射や、しゃっくり、心筋の動きに使われている。
だから、運動には使われていない収縮である。
単収縮が終わらないうちに、2つ目の収縮…3つ目…4つ目が起こる。
これを強縮と言い、運動時の筋収縮は強縮になる!
この強縮が起こらないと、運動は困難になっていく。
しかも、その時、その動作に必要なだけの強縮だ。
これが鈍ると、上手に遂行できないのだ。
そんな強縮には、異なる収縮形態がある。
一つは求心性収縮である。
求心性収縮は張力を保ち、起始と停止が近づく筋収縮である。
起始は筋肉の始まりで、停止は筋肉の終わりである。
筋肉が収縮すると起始と停止が近づくことになる。
これが求心性収縮である。
もう一つは遠心性収縮である。
遠心性収縮は張力を保ち、起始と停止が遠ざかる筋収縮である。
上腕二頭筋でいうと、
端坐位で、
張力を保ち、肘を屈曲していくときの収縮は求心性収縮であり、
張力を保ち、肘を伸展していくときの収縮は遠心性収縮である。
ポイントは張力を保ちながら、動作を行うことである。
もっというのならば、重力下で張力を保ちながら、落下させていく場合、
遠心性収縮が必要となる。
この遠心性収縮ができないと、一気に落ちてしまうことになる。
そうすると、動作も遂行できないし、関節は痛めやすくなる。
筋肉の性質上、収縮と弛緩の2種類しかないので、
収縮させながら(張力を保ちながら)、
起始と停止を遠ざけることの負荷は非常に大きいものとなる。
しかし、重力下で生きる以上は
遠心性収縮は重要の重要の重要な収縮だ。
考えてみてほしい。
遠心性収縮の練習をしている方はどれくらいいるだろうか?
筋力増強運動をみていると、
求心性収縮ばかりいているように思える。
けども、日常生活をみてほしい。
求心性収縮を必要としている場面はそれほど多くない。
それに痛みの発生しやすい人や、転倒の危険性が高い人は、
遠心性収縮が苦手な人が多い。
これは臨床経験から明瞭だ。
けど、研究をさがしても、大腿四頭筋の筋力が増加したなど、
求心性収縮力が増加したという報告ばかりだ。
端坐位で膝伸展筋力が増えたことが、
日常生活のどこに影響するのだろうか?
どの場面で、膝伸展筋力を使うのだろうか?
立位の場面?歩行の場面?
いや、四頭筋はそれほど必要としない…
起立の場面?
いや、四頭筋強すぎは良くない…
臨床上、端坐位において”膝伸ばして下さい”というと、
伸ばせない人はさほどいない。
だったら、四頭筋は問題ではないよね。
逆にハムストリングスを増強させてみる
歩行も、起立も、立位も良くなることが多い…
●大事なことは遠心性収縮を上手く行えるようにすること
●ゆっくりとした動作を行えるようにすることである
ゆっくりと張力を保ちながら、起始と停止を離していく。
これが上手くなれば、日常生活動作能力は格段にあがり、
痛みも発生しにくくなる。
フレイル、サルコペニアの改善に大事なことは、
遠心性収縮が上手くなること!!
これです。
がつがつ求心性の運動ばかりやる必要はない。
一つ一つ丁寧に遠心性収縮ができるようにしていくべき。
実際に私はクリニックで、遠心性収縮の練習を実施しています。
すると、階段の降りる時、着座時の痛みは改善し、
また動作自体も安定していきます。
これは、何人もみていることなので、根拠があります。
ここで、求心性収縮ばかりやらせていたとしたら、
間違いなく良くなりません。
良くなるどころか、どんどん緊張が高まり、
棒状の脚になってしまいます。
これも良くみてきたので、間違いありません。
遠心性収縮が使われる場面や、練習方法は後日またお伝えしていこうと思います。
もう一つ、筋の長さを変えない、関節は動かさないで収縮することを
等尺性収縮という。
これは姿勢保持筋がよくしている収縮様式である。
等尺性収縮については、次回の記事に書いていくことにします。